メディカルインフォメーション

軽度認知症害(MCI)について

執筆者 部長(教授) 和田 健二

 軽度認知症害とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、認知機能の低下が客観的にみられる時期で、認知症の前段階と言われる病態です。

 認知症は、認知機能の低下があり、日常生活動作(請求書を支払う、内服薬を管理するなど)に援助を要する段階にあります。

 軽度認知症害は、日常生活動作はなんとか出来るが、今までとは少しやり方を変えなければならない、努力が必要など生活の中に変化が見られるようになった状態のことを言います。

 認知症の方が約500万人いると推定されていますが、軽度認知症害の方も約500万人いると言われています。想像よりかなり多くの方が認知機能の低下を伴う病態になっていることがわかっています。

 軽度認知症害は年率10%の方が認知症に進行していくと言われているため、認知症への進行を遅らせるために、軽度認知症害の時期を大切に過ごすことが重要になります。人生の岐路にあると考え、きちんと自分の状態を知り、生活習慣病を整えていくことで、なるべく良い方向へ持っていくことが大切であり、そのために、この時期の早期診断、早期治療が重要になります。

 軽度認知症害は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・難聴などの生活習慣病をお持ちの方や、お酒をたくさん飲まれる方、運動習慣のない方や体力が落ちている方がなりやすいと言われています。65歳以降の老年期にある方に多く見られます。

 軽度認知症害に有効なお薬はまだ開発されておらず、生活習慣を整えていくことが主な治療になります。どのような生活習慣をされているか伺い、喫煙している方は禁煙を、お酒をたくさん飲まれる方は量を減らす、睡眠の質を上げる、栄養の取れる食事の管理、運動習慣、社会参加を促すなどの指導をしていきます。きっちりと生活習慣を改善すると軽度認知症害が改善したり、認知症に進行しないことが多くあります。

 早期発見のためには、ご自身で何となく要領が悪くなったと気づいたり、ご家族やご友人が以前より少し動作に時間がかかる、約束を忘れがちになった、同じ話を何度も何度も繰り返すなどの変化に気づき、小さな変化を見逃さないことが大切です。

執筆者 部長(教授) 和田 健二